世界的に国産ウイスキーのブームやハイボールブームの影響により、ウイスキー人気が高まっています。NHK連続ドラマ「マッサン」でもウイスキー造りが題材となっていたこともあり、今はウイスキーに関わる仕事にも注目が集まっています。
好きな仕事なら、ずっと続けられると言うように、ウイスキーが好きという気持ちがあれば、知識や意欲を活かせる仕事に就けるかもしれません。
本記事はウイスキーに携われる仕事について、どのようなものがあるかを業界の動向をお伝えしながら徹底的に解説をします。
目次
ウイスキー業界の転職はどうなの?市場の拡大性を紹介
ウイスキーは、以前はお酒に特に詳しい方や愛好家の間で好まれている飲み物という印象でした。しかし2000年代に入り、デイリーの食卓や気軽な飲み会などでウイスキーを親しむ方が増えてきています。ウイスキーの出荷量は8年で約2倍に増えており、ウイスキー市場がハイスピードで成長していることが伺えます。
年度 | ウイスキー出荷量(課税済) |
---|---|
2003年 | 97,000kl |
2005年 | 84,000kl |
2007年 | 74,000kl |
2009年 | 84,000kl |
2011年 | 96,000kl |
2013年 | 110,000kl |
2015年 | 142,000kl |
2017年 | 167,000kl |
2019年 | 194,000kl |
2020年 | 162,000kl |
出典:国税庁 酒類課税数量の推移(国税局分及び税関分の合計)
ウイスキーブームの大きな要因は、「ハイボール」の流行です。
ビールよりもヘルシーなハイボールを「とりあえず一杯」とビールの代わりにする方が増え、今までウイスキーに馴染みがなかった世代の方や女性などにも多く好まれるようになりました。
ウイスキー市場は拡大をし続けており、それに伴いビジネスチャンスも増えています。ウイスキーの作り手として働くことはもちろん、レストランやバーのスタッフ、酒販店などもウイスキーの取り扱いが増えており、詳しい知識を持って働ける人材は重宝されています。
ウイスキー造りができる場所は?銘柄や蒸留所
ウイスキー造りは場所が非常に重要です。
ウイスキー造りは専門設備が必要であり、ウイスキー造りに関わりたいのであれば蒸留所のある場所で仕事を探すことになります。
2022年時点で稼働しているウイスキーの蒸留所は、国内に59箇所あります。ニッカウヰスキーの「余市蒸留所」「宮城峡蒸留所」、サントリーの「山崎蒸留所」といった有名な大蒸留所から、中〜小規模のクラフトウイスキーの蒸留所までさまざまです。
地方別蒸留所
北海道地方
- ニッカウヰスキー 余市蒸溜所
- 東北地方
- ニッカウヰスキー 宮城峡蒸溜所
- 金龍 遊佐蒸溜所
関東地方
- ベンチャーウイスキー 秩父蒸溜所
- 明利酒類 高藏蒸留所|TAKAZO Distillery
中部地方
- サントリースピリッツ 白州蒸溜所
- 本坊酒造 マルス信州蒸溜所
関西地方
- サントリースピリッツ 山崎蒸溜所
- 江井ヶ嶋酒造
中国地方
- 松井酒造 倉吉蒸溜所
- 宮下酒造 岡山蒸溜所
九州・沖縄地方
- 嘉之助蒸溜所
- 本坊酒造 マルス津貫蒸溜所
- ヘリオス酒造
蒸留所は日本各地に点在しています。蒸留所のある場所の傾向としては、ウイスキー造りの特徴から北海道や東北地方をはじめ軽井沢や秩父など、比較的涼しい気候の場所に多いです。そのためウイスキー造りに携わる仕事をするのであれば、地方勤務になる可能性が高いです。
販売や接客などからウイスキーに携わるのであれば、上記以外もございます。都心のレストランなどで高級ウイスキーを扱っているお店も多いため、販売や接客、そして企業などで営業やマーケティングに携わるのであれば、日本各地の様々な場所が勤務地となります。
9/29 ニッカウヰスキー 余市蒸溜所
ニッカウヰスキーの創業地
朝ドラのマッサンの舞台にもなった所
蒸溜所の見学は事前予約が必要ですが
ミュージアムとギフトショップは自由に入れます pic.twitter.com/zhpNdnHwjZ— takatan (@Takatan_zd) October 5, 2022
国産ウイスキーの話題性!海外輸出などグローバルな展開の可能性
ウイスキーが流行しているのは国内だけではありません。
日本のウイスキーは世界5大ウイスキーの1つ「国産ウイスキー」と呼ばれ、世界各国で注目が高まっています。そしてウイスキーの輸出額は、ここ数年で何倍にも跳ね上がっており、現在も成長をし続けています。
2020年の春、サントリーのウイスキー「山崎55年」がオークションにて8100万円という超高額で落札されました。日本では2020年に100本限定で税抜き300万円で発売され、完売しています。
参考:テレビ朝日「サントリー「山崎55年」海外オークションで約8100万円で落札」
世界的なコンクールで日本のウイスキーが表彰されることも多く、専門家からみても価値の高いものだと評価されています。
参考:ワールド・ウイスキー・アワード 2022 最終結果
そのため、ウイスキー業界では、海外輸出に携わる業務などグローバルな活躍をする職も求められています。海外相手に営業をかけたり、実際に海外に赴いて現地のイベントに参加したりすることもあります。造り手にとっても、世界に通用するウイスキーを作り出すことが今後の展望として求められています。
お酒関係に強いおすすめの転職エージェントサイトは以下6選です。まずは、話しを聞くだけでもウイスキー業界に携わる一歩に繋がります。
- ポイントバンク
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- アクシスコンサルティング
ウイスキーに関わる職種6選!造り手〜販売/海外展開
ウイスキーに関わる職種は主に、以下6選です。
- ウイスキーコニサー
- 物流・工場・品質管理など
- ブレンダー
- ウイスキー製造
- 営業、広報、マーケティング
- 海外営業・海外事業計画
詳しく解説します。
①ウイスキーコニサー
仕事内容:ウイスキーの鑑定。レストランやバーでの勤務や酒販店勤務など、ウイスキーの魅力を理解し多くの人に魅力を伝える仕事
必要なスキル:ウイスキーコニサー資格(認定試験を受験)
年収・月給:年収300万円~500万円前後※職種による
ウイスキーコニサーとは、ウイスキーの味や歴史について理解し、それを伝えていく人のことです。いわゆるワイン界におけるソムリエのような存在であり、バーやレストランを中心に様々な場所で活躍できます。
ウイスキーコニサーは資格の一つなので、ウイスキーコニサーの資格を所持していないと働けないというわけではありません。未経験からスタートし飲食店で働きながら、この資格を取得するという方もいます。
ソムリエほどの知名度はありませんが、ウイスキーの発展を考慮すると今後の活躍の場が期待できる仕事でもあります。もちろん飲食店だけでなく、資格を活かしてメディア関連や営業担当などとして働くことも可能です。
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②物流・工場・品質管理など
仕事内容:ウイスキーの蒸留所やメーカーの工場で、梱包や仕分けなど物流、品質管理などの仕事を行う
必要なスキル:特に必要ありません
年収:300万円~400万円程度
ウイスキーがお客様の手に届くまでには、作る人・売る人の他にもさまざまな人の仕事が関わってきます。例えば倉庫や工場で物流関連の仕事をする人も、ウイスキーの発展には欠かせない役割です。物流や製造関連の仕事は非常に幅広く、梱包などの細かい作業もあれば、マシンメンテナンスや機械管理などの大きい仕事もあります。
物流・製造関連で働く大きなメリットは、未経験からでもウイスキーに携わる仕事ができる点にあります。ウイスキーコニサーなどの作り手は何年もの修行が必要ですが、物流系の仕事なら特別な資格が問われることも少なく、他業種からの転職などでも挑戦しやすいです。
大型の工場では機械関連の知識があると即戦力になりますが、働きながら覚えていくことも可能です。「お酒やウイスキーに携わりつつ、社会人としての経験値を積みたい」といった場合にもおすすめです。
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③ブレンダー
仕事内容:ウイスキーの調合(ブレンディング)、改良やテイスティング
必要なスキル:ウイスキーに関する知識やテイスティング経験、センスなど
年収・月給:年収500万~800万
ウイスキブレンダーは、一言でいうとウイスキーの原酒をブレンド(調合)してウイスキーの味を整える人のことです。何種類もの原酒を組み合わせて繊細な味わいをつくるという、ウイスキー造りには欠かせない仕事です。
ただしブレンダーと言っても、ただお酒を調合するだけではありません。ウイスキーの味を極めるために、時には何百を超えるような原酒をテイスティングしたり、今あるウイスキーが良くなるように改良を加えたりします。
ブレンダーのメリットは何よりも一番ウイスキーに近い立場で、ウイスキーの味わいを造ることができるという点です。ブレンダーとして経験を積めば、「マスターブレンダー」と呼ばれるウイスキーの総監督のような立場にもなれます。
ただしウイスキーの味を正確に読み取る必要があるため、豊富な知識に加えセンスや経験も非常に重要になってきます。また繊細な味わいを正しく読み取るために、体調管理を徹底し味覚を整える必要があります。例えば、翌日のテイスティングに支障をきたさないように平日はカレーなどの味の濃い食べ物を避けるなど、勤務外の私生活でも守るべき事柄が多く存在します。
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④ウイスキー製造
仕事内容:原酒製造のプロセス管理や設備保全、設備設計、導入、企画などウイスキーの製造や生産に携わる仕事
必要なスキル:電気系や機械系の業務経験など
年収・月給:月給20万円程度~
ウイスキー製造スタッフは、ウイスキーを手がけるメーカーなどに就職し、ウイスキー原酒造りに携わる人たちのことです。例えば生産の計画を立てたり、製造プロセスの管理、製造設備の保全などです。
ウイスキー造りには専門的な機器が多く使われるため、大掛かりな機器を扱える能力が求められます。
ただし必ずしも経験や資格などは必須ではなく、未経験から新入社員として入社し勤務しながら覚えていくことも可能です。例えば電気・機械系の学校を卒業している方などは設備管理のスタッフとして重宝されます。
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⑤営業、広報、マーケティング
仕事内容:ウイスキーメーカーや企業などにおいて、ウイスキーに携わる業務を担当
必要なスキル:営業スキルなど
年収・月給:月給20万円程度~
ウイスキーの仕事は造り手たちだけではありません。広がるウイスキー市場の中で、商品を広めたりする役割を担う人たちがいます。ウイスキーに携わる仕事がしたい場合、企業に就職し造り手ではなく事務系の仕事で携わっていくという方法もあります。
例えば営業担当として自社のウイスキーを売り込んだり、広報担当として魅力を広げたりできます。飲食店スタッフとは違い直接飲み手と関わる仕事ではありませんが、全国のあらゆる人にウイスキーの魅力を伝えることができる仕事でもあります。
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⑥海外営業・海外事業計画
仕事内容:海外市場に向けて営業、海外出張をし現地で売り込む、イベントへの参加など
必要なスキル:英語力、コミュニケーション能力、ウイスキーの知識
年収・月給:年収500万円~800万円
日本のウイスキーは今海外で大きな注目を集めています。そして海外に向けたウイスキービジネスは、今まさに発展し続けています。
例えば自社製品を海外に売り込んだり、海外輸出についての手続きを行ったりなどです。
時には実際に海外出張し、現地で営業をかけたりイベント等に参加することもあるでしょう。
なおウイスキーの海外事業に携わるのであれば、英語力は必須です。さらに中国語などの第二外国語スキルもあれば、さらに活躍の場が広がるでしょう。
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ウイスキーで転職したい!役立つ資格や学校を紹介
ウイスキー業界で働くのであれば、どんな職種につく場合でもウイスキーに関する知識は欠かせません。もちろん未経験からでもできる仕事はありますが、ウイスキーに関する資格を身につけておけば就職が有利になり、活躍できる幅も広がるでしょう。
ウイスキーの仕事に役立つ資格は「ウイスキーコニサー資格認定試験」です。
詳しく紹介します。
ウイスキーコニサー資格認定試験
ウイスキーコニサー資格認定試験は、ウイスキーにおけるソムリエのような存在です。コニサーとは「鑑定家」を意味しており、ウイスキーコニサーの試験ではウイスキーに関するあらゆる知識や鑑定能力を問われます。
「ウイスキー文化研究所」が実施する資格で、資格はWE(ウイスキーエキスパート)、WP(ウイスキープロフェッショナル)、MW(マスター・オブ・ウイスキー)の3段階に分かれています。
ウイスキーに関わる以下の仕事の場合役立ちます。
- ウイスキーブレンダー
- ウイスキー製造業
- バー・レストランスタッフ
<取得の条件は?>
20歳以上の方
そのほかの条件:WPやMWの場合、1段階前の資格を保有している必要あり
<出題分野>
ウイスキーコニサー資格はWE、WP、MWの3段階に分かれています。WEはウイスキーに関する基礎知識から出題され、試験は筆記試験の形式で問われます。WPからは筆記試験に加えテイスティングの試験もあり、海外のウイスキーについての知識や背景など、より幅広くウイスキーを理解しておくことが求められます。MWはまさにウイスキーのプロとなるための試験で、ただの知識の暗記ではなく総合的にウイスキーを理解していることが必要となります。
<試験内容>
WE:90分間の筆記試験で、基本的には選択式の100問で問われます。
WP:筆記試験90分間に加え、60分間の官能試験(テイスティング)が行われます。
MW:論文審査、A4判に横書きのワープロで、16,000字以上28,000字以内の必要あり。
<申し込みの流れ>
申し込みは「Whisky Connoisseur」の公式ページから行えます。申込書などの必要書類を用意し、ウイスキー文化研究所まで郵送しましょう。しばらくすると自宅に受験票が届きます。
<受験費用>
ウイスキーコニサーの受験費用は、受験する資格の段階位よって異なります。
WE:11,000円(税込)※試験合格者には資格認定料を申受けます。
WP:24,000円(税込)
MW:15,000円(税抜)
ただし上位のランクの資格を受験するためには、先に下位ランクの資格を取得しておく必要があります。
<勉強方法>
ウイスキーコニサーの資格試験対策には、ウイスキー文化研究所公式の「ウイスキーコニサー資格認定試験教本」が有効です。そのほか勉強のポイントがわかる対策講座も用意されています。
そのほかにも、アルコール類に関する資格は多数あります。また資格を学べる学校も存在しています。「お酒に関わる仕事がしたいけれど何からはじめていいかわからない・・・」という方は、ぜひ資格や学校をチェックしてみてください。
お酒を学ぶ上でおすすめお酒の資格・講座9選
ウイスキー好きの転職におけるよくある質問
ウイスキー好きの転職におけるよくある質問は以下2つです。
- ウイスキー 正社員にはどんな仕事があるの?
- ウイスキー 正社員の求人掲載数は何件ですか?
回答いたします。
Q. ウイスキー 正社員にはどんな仕事があるの?
A. ウイスキー 正社員には、ワイン、酒類、地ビールの仕事があります。
Q. ウイスキー 正社員の求人掲載数は何件ですか?
A. ウイスキー 正社員の求人掲載数は7,314件となっています。アルバイト・パートの求人は4,194件です。
まとめ:ウイスキーの転職は今がチャンス
国内・世界ともに人気を集めているウイスキーは、今が転職のチャンスです。ウイスキーに関わる資格などもあるので、気になる方はぜひ挑戦してみてください。