毎月お金を払っているのに、一度も使っていない。端末は古くなってきたし、バッテリーの持ちも悪い。このまま払い続けるくらいなら、いっそ、と考えてしまう。
その状態でこのページにたどり着く人が一定数いることは、検索されている言葉を見ればわかります。
私はこの手の保証やスマホ保険を調べて回っている人間で、KDDIが公開している「故障紛失サポート」の規定を最初から最後まで読みました。2026年8月1日に改定された版です。読んで最初に思ったのは、故意かどうかを判定する仕組みより、故意だと判断されたあとに起きることのほうが重いということでした。
このページでは、規定に何が書かれているかだけを条文番号つきで並べます。壊し方の話は一切出てきません。出てくるのは、金額と、そのあとに残るものの話です。
保証を横に並べて見比べたい方へ。AppleCare+・キャリアの補償・モバイル保険を1ページにまとめています。
au 故障紛失サポートでわざと壊すと補償は受けられない
結論の部分は規定の一箇所に書かれています。
故意または重大な過失は規定で除外されている

故障紛失サポートの中心にあるのが「交換用携帯電話機お届けサービス」で、規定の第5条がまるごとこのサービスに充てられています。その第3項に「補償の対象とならないケース」が17号にわたって並んでいて、その13号がこれです。
補償請求事由がサポート会員もしくはサポート会員より正当な権限を与えられた本サポート制度対象移動機の使用者の故意または重大な過失により発生したものであるとき
契約者本人だけでなく、本人が使わせている家族などが故意に壊した場合も同じ扱いになると読めます。「自分がやったわけではない」という説明が通る範囲は、思っているより狭い。
重大な過失という線引き
条文は「故意」と「重大な過失」を並べています。故意は意図的に壊すこと。重大な過失は、少し注意していれば避けられたのに、その注意をまったく払わなかったという状態を指す言葉として使われます。
つまり、はっきりした故意でなくても外れる余地がある書き方になっています。ここは規定を読むだけでは境界が確定しないところで、最終的に判断するのは受付をした側です。
機能に影響しない傷はそもそも対象外
同じ第5条3項の6号には、傷・汚れ・塗装の剥離といった外見上の損害で、端末の機能に影響が生じていないものは補償を受けられないと書かれています。
そして9号では、誤使用によって生じたものも対象外とされています。
見た目だけの損傷を作っても補償は動かず、雑に扱った結果として起きた損傷も対象から外れる可能性がある。わざとという言葉の手前にある選択肢も、規定の上ではすでに塞がれています。
月額料や負担金そのものの金額はau故障紛失サポートの料金の記事に整理してあります。ここでは、その反対側にある金額を見ていきます。
au 故障紛失サポートの規定に書かれている禁止事項
第5条には第17項として「禁止事項」という項目があり、5つの行為が名指しされています。
虚偽の届出または申告
1号が「本サービスにおける補償のお申込み時、その他本サービスのご利用にあたり、虚偽の届出または申告を行う行為」です。
壊れた理由をどう説明するか、という話がここに入ります。壊したこと自体と、壊れた理由を違う形で伝えることは、規定上は別々に扱われています。
不正の目的をもって利用する行為
3号が「本サービスを不正の目的をもって利用する行為」。
金額も方法も書かれていない、幅の広い条文です。個別の手口を列挙する代わりに目的で括ってあるので、新しいやり方を考えても条文の外には出られない構造になっています。
おそれのある行為まで含まれている
4号と5号に共通しているのは末尾の書き方です。
| 号 | 禁止されている行為 |
|---|---|
| 1 | 補償の申込み時その他の利用にあたり、虚偽の届出または申告を行う行為 |
| 2 | 他者になりすまして本サービスを利用する行為 |
| 3 | 本サービスを不正の目的をもって利用する行為 |
| 4 | 犯罪行為もしくは犯罪行為に結びつく行為、またはそのおそれのある行為 |
| 5 | 法令、公序良俗、本規定もしくは約款等に違反する行為、またはそのおそれのある行為 |
4号と5号は「またはそのおそれのある行為」で終わっています。行為が完成していなくても、そのおそれがあれば禁止事項に触れる書き方です。

そして第5条3項の2号に、補償の申込みが第17項の禁止事項のいずれかに該当するときは補償を受けられない、と戻ってきます。禁止事項に触れた時点で、その申込みは処理されません。
au 故障紛失サポートでわざとが伝わる仕組み

「バレるかどうか」を気にしている人が多い言葉ですが、規定を読むと、そもそも見られる場面が複数用意されています。
旧端末は14日以内に返送する義務がある
第5条11項1号に、交換用端末を受け取ったら14日以内に、旧端末を指定された送り先へ送ると書かれています。SIMや外部メモリ、付属品を除いた状態で送ります。
交換用端末が届いて終わり、ではありません。壊れた端末は手元から離れて、相手側に渡ります。
返送された端末は製造会社で修理され再利用される
第5条15項には、送った旧端末がそのあとどうなるかが書かれています。
製造会社において故障部分を修理し、筐体を交換して新製品の出荷時と同様の状態に初期化したうえで、本サービスまたは、当社等のその他のサービスにおける交換用端末として当社等から他のお客様に提供され、または当社等により第三者に転売もしくは廃棄される
製造会社が故障部分を修理すると書かれています。修理するということは、どこがどう壊れているかを見るということです。回収して終わりではなく、分解される前提の流れが規定に明記されています。
紛失盗難は警察への届出と受理番号が要る
紛失や盗難、火災による消失を理由に申し込む場合は、第5条4項3号がかかります。
紛失・盗難などの事由につき警察または消防署等公的機関へ届出がなされている必要があります。補償のお申込み受付時に届出先の機関名、届出年月日、受理番号をご申告いただきます
届出をした事実そのものが必要で、しかも受理番号まで申告します。これは通信会社の中だけで完結する話ではなくなります。届出の内容と申込みの内容がずれていた場合、照らし合わせる先が社外にあるということでもあります。
本人確認書類の提出を求められる場合がある
第5条4項1号には、auショップなどの実店舗では申し込めないこと、受付にあたって本人からの申込みであることを確認することが書かれています。さらに第18項で、必要と判断した場合には本人確認書類等の写しの提出を求める場合があるとされています。
私が調べた範囲では、どういう場合に提出を求めるかの基準までは公開されていません。ただ、求められる仕組みが規定に置かれていることは確認できます。
au 故障紛失サポートでわざとが判断されたときに起きること
ここが規定を読んでいちばん驚いた部分です。「補償が受けられない」で終わりではありませんでした。
違約金は44,000円から220,000円
第5条14項に違約金の定めがあり、その4号が「本条第17項の定めに違反して補償のお申込みをされた場合」です。金額は会員種別で決まります。
| 会員種別 | 違約金(税込) |
|---|---|
| 会員種別①-(1)、①-(4)、①-(5)、②〜⑤ | 44,000円 |
| 会員種別①-(3)および①-(7) | 154,000円 |
| 会員種別①-(2)および①-(6) | 220,000円 |
| 会員種別①-(8) 月額料990円 | 22,000円 |
| 会員種別①-(8) 月額料1,190円 | 44,000円 |
| 会員種別①-(8) 月額料1,590円 | 143,000円または198,000円 |
| 会員種別①-(8) 月額料1,980円 | 198,000円 |
端末の代金より高い金額が並んでいます。規定には、支払った違約金は正当な事由がある場合を除いて返金されないとも書かれています。
なお、この違約金は禁止事項の違反だけにかかるものではありません。同じ14項の1号と2号で、旧端末を期限内に送らなかった場合、申込み後に旧端末を返送できなくなった場合にも同じ金額がかかります。返送しないという選択も、規定上は同じ棚に置かれています。
通知も催告もなく退会させられる
第14条5項に、退会させられる条件が5つ書かれています。
①入会時に虚偽の内容を申告した場合/②本規定等に違反した場合
この2つに当たると、KDDI側は何ら通知、催告なくサポート制度から退会させることができるとされています。連絡が来てから考える、という段取りは想定されていません。
退会すると全ての権利が失効する
続く第14条6項が短い一文です。
退会にともない、サポート会員が有する本サポート制度に関する全ての権利は、失効するものとします
3年保証サービス、修理代金割引サービス、水濡れ・全損時リニューアルサービス、データ復旧サポート。第4条1項に並んでいる8つの特典が、まとめて消えます。
過去の虚偽申告は次の申込みにも効く
第5条3項の3号と4号は、時間をまたぐ条文です。
3号は、過去に規定への違反があって、申込み時点でなお是正されていないときは補償を受けられない。4号は、過去に同一名義の会員の申込み内容に虚偽申告があったと判断されたときは補償を受けられない。
一度そう判断されると、そのあとに起きた本当の故障も救われなくなるという意味です。次に本当に困ったときに使えない状態を、自分で作ることになります。
端末の利用が制限される場合がある
第5条10項1号の③には、申込みを受け付けたあとで虚偽の登録・届出もしくは申告があったと判断した場合、旧端末や申込みのあった端末について、会員または第三者による利用を制限する場合があると書かれています。
結論:わざとで得られるのは新しい端末1台、失う可能性があるのは違約金と全特典と端末の使用そのもの。釣り合っていません。
解約したい場合の手続きはau故障紛失サポートの解約の記事にまとめています。退会させられるのと、自分で解約するのは別の話です。
au 故障紛失サポートでわざとを考えてしまう理由
ここまで規定の話をしてきましたが、検索している人を責める気はありません。この言葉が月600回も検索されているのには理由があります。
月額を払い続けても使う機会がない
会員種別によりますが、故障紛失サポートの月額料は418円から1,980円の幅があります。仮に月990円なら年間11,880円。2年で23,760円。
その2年間、端末を落とさなければ、支払った額はそのまま消えます。保険とはそういうものだと頭でわかっていても、使っていない実感のほうが強く残ります。
負担金が思ったより高い
いざ使うときにも、無料ではありません。第5条5項2号の表では、会員種別と利用回数に応じて5,500円から20,900円の負担金がかかります。
毎月払ったうえで、使うときにもう一度払う。この二段構えが「払っている割に返ってこない」という感覚を強くします。
端末代が上がり続けている
以前なら実質負担が抑えられていた買い替えが、いまは本体価格がそのまま乗ってきます。10万円を超える端末が普通になり、割賦の残債を抱えたまま次を考えることになる。
その状況で、毎月払っている保証の存在を思い出す。ここまでの流れは、正直なところ、よくできた導線だと思います。
このサービス自体が自分に要るかどうかはau故障紛失サポートは必要かの記事で別に扱っています。
au 故障紛失サポートを正規に使って直す進め方
すでに壊れている場合は、規定どおりに使ったほうが早く終わります。
年に何回まで使えるか
第5条5項1号に、補償の申込みをした日を起算日として、会員種別①-(5)〜(8)は1年間に3回まで、その他の会員種別は1年間に2回まで利用できると書かれています。
申込み時点で過去1年間にすでに上限まで使っていると、利用できません。回数は暦年ではなく、申込みをした日から数えます。前回いつ使ったかを思い出せない場合は、数え方がずれている可能性があります。
なお、交換用端末を受け取る以外にも、修理して使い続ける選択肢が第7条の修理代金割引サービスとして用意されています。こちらは負担額の上限が5,500円で、端末が手元に戻ってきます。水濡れや全損の場合は第8条のリニューアルサービスが11,000円で別に置かれています。壊れ方によって使う窓口が違うので、交換だけが選択肢ではありません。
負担金と3つの割引
負担金は会員種別と利用回数で決まります。代表的なところを抜き出します。
| 会員種別 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
|---|---|---|---|
| ①-(1)、①-(4)、②〜④ | 5,500円 | 8,800円 | - |
| ①-(2)および①-(3) | 11,000円 | 16,500円 | - |
| ①-(5) | 5,500円 | 8,800円 | 8,800円 |
| ①-(6)および①-(7) | 11,000円 | 16,500円 | 16,500円 |
| ⑤ | 5,500円 | 11,000円 | - |
第5条5項3号に割引が3つあります。au通信サービスの契約継続期間が25か月以上の回線がau IDまたは家族割・法人割のグループ内に含まれる場合は2,200円引き。指定のWEBサイトから申し込むと550円引き。代用機の貸出を受け付けなかった場合は550円引き。これらは併用できる場合があると書かれています。
さらに、購入から1年以内で自然故障の場合は無償になる定めが第5条5項4号にあります。
実店舗では申し込めない
第5条4項1号にはっきり書かれています。auショップ等の実店舗では申し込めません。窓口に行っても手続きは進みません。
紛失や盗難であれば、先に警察へ届出をして受理番号を控えるところからになります。
交換用端末は同一機種とは限らない
第5条1項4号に、提供される交換用端末は原則として同一機種・同一色だが、在庫不足等で困難な場合は同等の機種または色になると書かれています。
同項3号では、その端末が他の会員が使っていた端末を初期化したものであることを承諾するとされています。新品が届く仕組みではありません。自分が返した端末も、同じ流れで別の会員のもとへ渡っていきます。
AppleCare Servicesを組み合わせた上位プランについては故障紛失サポート ワイドの記事で別に整理しています。
au 故障紛失サポートの月額を台数で数え直す
規定の話はここまでです。最後に、私自身が同じ悩みをどう処理したかを書きます。
私が2年で払った額と使った額
私はauではなくiPhoneでAppleCare+に入っていました。月1,180円を2年、合計28,320円。その間に使った修理はゼロです。
払った額と受け取った額を並べたとき、保証そのものが不要だという結論にはなりませんでした。なったのは、契約の数え方を変えるという結論です。
故意はどの保険でも対象外という前提
先に書いておきます。故意による損傷が補償の対象外になるのは、故障紛失サポートに限った話ではありません。どの保証、どの保険でも同じです。乗り換えれば通るという話ではないので、そこは期待しないでください。
変えられるのは、同じ金額で何台守れるかのほうです。
守る機器は1台とは限らない
私の場合、落として困るのはiPhoneだけではありませんでした。iPadもあるし、ワイヤレスイヤホンもよく落とします。端末ごとに保証を契約すると、月額はそのまま台数分に増えます。
そこで、端末ごとに数えるのをやめました。主端末1台に副端末2台まで、あわせて3台を1つの契約でまとめる形に切り替えて、いまはそれで運用しています。
スマホ保険の比較記事に、キャリアの補償と横に並べた表を置いてあります。
毎月払っている額を、守れる台数で割り直すという考え方があります。
端末ごとではなく1契約で主端末1台+副端末2台まで。
au 故障紛失サポートのわざとについてよくある質問
Q. わざと壊したことは本当にわかるものですか
A. 規定には判定方法は書かれていませんが、端末が相手側に渡って修理される流れが明記されています。
第5条11項1号で交換用端末の受領後14日以内に旧端末を送る義務があり、第5条15項でその端末は製造会社が故障部分を修理して再利用すると定められています。壊れた端末が手元に残らない仕組みです。
Q. 落としたことにして申告するのは問題ないですか
A. 第5条17項1号の「虚偽の届出または申告を行う行為」に該当します。
そして第5条3項2号により、禁止事項に該当する申込みは補償を受けられません。壊した事実と、伝える理由がずれた時点で別の条文がかかります。
Q. わざとだと判断されたら具体的にいくら払いますか
A. 会員種別により44,000円・154,000円・220,000円のいずれか、①-(8)の場合は22,000円から198,000円です。
第5条14項4号が根拠です。同項には、支払った違約金は正当な事由がある場合を除いて返金されないとも書かれています。
Q. バレなければ大丈夫という話を見かけました
A. 仮に一度通ったとしても、第5条3項3号と4号が次回以降にかかります。
過去に規定違反があって是正されていない場合、また過去に虚偽申告があったと判断された場合は、そのあとの申込みが補償の対象外になります。本当に必要になったときに使えない状態が残ります。
Q. 重大な過失はどこからが重大ですか
A. 規定に具体的な基準は書かれていません。
第5条3項13号が「故意または重大な過失」と並べているだけで、線引きは示されていません。判断するのは受付をした側になります。
Q. 退会させられると何がなくなりますか
A. 第4条1項に並ぶ8つのサポート特典すべてです。
交換用携帯電話機お届けサービス、3年保証サービス、修理代金割引サービス、水濡れ・全損時リニューアルサービス、データ復旧サポートサービス、写真クラウドサービス、訪問設定サポート、デバイス補償。第14条6項で全ての権利が失効します。
Q. すでに壊れている場合はまず何をすればいいですか
A. 実店舗ではなくWEBまたは電話から申し込み、紛失盗難なら先に警察へ届出をして受理番号を控えます。
第5条4項1号で実店舗の受付は対象外とされ、同項3号で公的機関への届出と受理番号の申告が求められています。WEBからの申込みには550円の割引もあります。スマホ保険そのものの要否はスマホ保険はいらないのかの記事で扱っています。
結論:規定の外に出ようとするより、契約の数え方を変えたほうが手元に残るものが多い。
主端末1台+副端末2台まで、月700円から。
※料金や条件は変わることがあります。加入前に、最新の内容を公式ページで確認してください。