AppleCare+を解約するかどうか迷っていたころ、比較サイトを読むのに疲れて、知恵袋を開きました。広告の入っていない場所の意見が読みたかったからです。
読んでみて、最初に気づいたのは意見の中身ではありませんでした。1つの質問に付いている回答が、2人か3人か4人しかないということでした。
もう1つ気になったことがあります。ある回答に「国の調べによると」という前置きで数字が出ていました。その数字がどこから来たのかを追いかけたら、国の調査ではありませんでした。
このページでは、実際に読んだ知恵袋のやり取りを整理したうえで、そこで引用されていた数字の出所まで辿ります。そのあとで、自分の条件に置き換える手順を書きます。
いる・いらないの判断そのものを知りたい方へ。条件別に線引きを整理したページがあります。
スマホ保険はいらないと知恵袋で言われる理由を3つに分けた
読んだ範囲では、いらない側の主張はきれいに3つに分かれていました。
実際に読んだ質問と回答の数を数えた
| 質問の趣旨 | 回答者数 | 回答の傾向 |
|---|---|---|
| 常識的に扱えば壊れないのでは | 4人 | 壊す人は意外に多い、という側が優勢 |
| 滅多に壊れないのに勿体ない | 4人 | ベストアンサーは入らない派 |
| 子供が2回使った。3回目を請求しづらい | 2人 | 使い切るべき、という側 |
| モバイル保険のおすすめと注意点 | 3人 | 3台まとめと自己負担なしを評価 |
4件で合計13人です。掲示板としては普通の数ですが、世の中の傾向を測る母数ではありません。知恵袋で見えているのは「多数派の意見」ではなく「たまたま答えた数人の意見」です。
これは知恵袋が悪いという話ではありません。もともと個別の相談に個別に答える場所なので、そういう作りになっているだけです。
3つの理由はどれも前提を書いていない
いらない側の主張は次の3つでした。
| 主張 | 要点 | 書かれていない前提 |
|---|---|---|
| 掛け捨て論 | 保険料を払うなら次の端末代に回した方がいい | 何年で買い替えるか |
| 自己管理論 | ケースと保護ガラスを付けて丁寧に扱えば壊れない | 使っている端末の価格 |
| 貯金で足りる論 | 壊れたら払えばいい | 一括で払える金額はいくらか |
どれも、その人の条件の中では正しいことを言っています。ただ、その条件が本文に書かれていません。読む側は自分と同じ条件だと思って読んでしまいます。
スマホ保険はいらないと答えた人に共通する条件がある
回答の書きぶりから、条件をある程度は復元できます。
壊した経験がない人が答えている
いらない派のベストアンサーで印象的だったのは、ガラケーの時代からスマホまで十数年使ってきて、保険が必要になった場面が一度もなかった、という趣旨のものでした。
これは体験としては本物です。ただ、裏を返せばこの人は「壊れたときにいくらかかるか」を経験していない、ということでもあります。保険が必要かどうかを判断する材料のうち、片側だけを持っている状態です。
端末価格が書かれていない
3万円の端末を使っている人と、20万円の端末を使っている人では、同じ「壊れたら払えばいい」でも意味がまったく違います。
知恵袋の回答に端末名が書かれていることは、あまりありません。質問側が書いている場合はあります。実際、モバイル保険について尋ねた質問ではiPhone 15 Proと明記されていて、その回答にはかなり具体的な数字が並んでいました。条件が書かれると、回答の精度は一気に上がります。
スマホ保険はいらないとは言い切れない声も知恵袋にある
いらない側だけを拾うと、読みたいものだけを読んだことになります。反対側も見ておきます。
2回使った人が3回目をためらっていた
子供のスマホで2回保険を使い、3回目にまた画面を割ってしまった、という相談がありました。金額の問題ではなく、また請求するのが申し訳ない、という内容です。
回答は2人で、どちらも使うべきだという趣旨でした。ここで見ておきたいのは回答ではなく、質問の方です。1人が2年のうちに3回割っている、という事実があります。壊す人は繰り返し壊す、という話は修理店の側からも語られていて、この相談はその実例に見えました。
質問者は補償の条件も書き添えていました。契約期間を通して合計20万円まで請求でき、1回あたりの自己負担が1万円ほど、という内容です。3回使えば修理費だけで十数万円が動くことになります。いらない側の回答と、この質問者の状況は、同じ土俵に乗っていません。
立て替えができない人は向かないという指摘
もう1つ、回答者本人が注意点を書いていたケースがありました。修理費用は一度自分で立て替える必要があるので、10万円前後の支払いが一時的にでもできない人は入らない方がいい、という趣旨です。

これは商品の弱点をすすめる側が自分で書いているもので、信頼できる書き方だと思いました。申請して戻ってくるタイプの保険は、立て替えができることが前提になります。この点は加入前に確認しておいてください。
スマホ保険はいらないの根拠になっている数字を調べ直した
いらない側の回答の中に、数字を挙げているものが1つありました。
出所はオークネットの民間調査だった
「国の調べによると2年間で修理の必要性を感じた人が33%ほど」という趣旨の記述です。数字が出ると説得力が上がるので、私はその出所を追いかけました。
辿り着いたのは、株式会社オークネットが2018年1月10日に発表した『携帯端末(電話)の修理に関するアンケート』でした。国の調査ではなく民間調査です。全国15歳以上の男女各300名、合計600名へのインターネット調査で、調査期間は2017年10月20日から24日です。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 過去2年で破損・故障・不具合が「あった」 | 31.0% |
| 同「なかった」 | 69.0% |
| 10代 | 43.0% |
| 60代以上 | 24.0% |
| 新品を使用している人 | 31.5% |
| 中古を使用している人 | 7.7% |
数字自体は実在しました。33%ではなく31.0%です。そして年代で20ポイント近く開きます。10代なら43.0%、60代以上なら24.0%。同じ「約3割」でも、自分がどこにいるかで話がまるで別になります。

不具合の内容は、1位がディスプレイの破損で30.7%、2位がフリーズで26.3%、3位が電池の消耗で21.0%でした。
修理費用の約半分は0円だった
同じ調査には、実際に修理した人の費用も載っていました。
| 修理にかかった費用 | 割合 |
|---|---|
| 0円(保証適用も含む) | 48.6% |
| 〜3,000円未満 | 11.9% |
| 〜5,000円未満 | 15.6% |
| 〜7,000円未満 | 9.2% |
| 〜10,000円未満 | 10.1% |
| 〜15,000円未満 | 1.8% |
| 15,000円以上 | 2.8% |
半分近くが0円です。ただしこれは保証適用も含んだ0円です。つまり、何らかの補償に入っていたから0円だった人が、この48.6%の中に相当数いることになります。「みんな安く済んでいる」という読み方はできません。
もう1つ、不具合があった人のうち41.4%は修理をしていません。理由の1位は、修理しなくても使えそうだったから、で42.9%でした。割れたまま使っている人がこれだけいるということです。
この調査は2017年のものである
この調査を読んで、私が一番引っかかったのは発表年でした。
この調査で15,000円以上かかった人は2.8%しかいません。当時の感覚としては、壊れても1万円台で収まるのが普通だったわけです。
今は違います。ハイエンド機の画面交換は、数万円かかるのが当たり前になりました。私が調べた時点では、iPhoneのPro系の画面修理はAppleの正規価格で6万円台です。2017年の2.8%という数字を、そのまま今の自分に当てはめることはできません。
知恵袋で「壊れたけど大した額じゃなかった」と書いている人がいたとして、それが5年前の体験なら、参考にはなっても判断材料にはなりません。実際にいくら戻ってくるのかは、モバイル保険で修理費がいくら下りたかの記録にまとめてあります。
数字を自分の条件に置き換えたうえで、それでも備えは残したいと思ったなら、3台まとめて自己負担なし、という選び方もあります。
スマホ保険がいらないかを私は3つの質問で決めた
知恵袋を閉じたあと、私は自分に3つ質問しました。
| 質問 | いらない寄り | 入る寄り |
|---|---|---|
| 守りたい機器は何台あるか | 1台 | 2台以上 |
| 修理代を一度立て替えられるか | できる | 厳しい |
| その端末の修理費の上限はいくらか | 2万円台まで | 5万円を超える |
守る台数を数えた
私の手元にはiPhoneのほかにiPadとワイヤレスイヤホンがありました。3台です。1台ごとに保険料を積む形だと、月額が3倍になります。
このとき初めて、AppleCare+が高いのではなく、私の持ち物の数に対して形が合っていないのだと分かりました。
立て替えができるかを見た
知恵袋の回答者が書いていた注意点です。申請して戻ってくるタイプは、いったん自分で払う必要があります。
私の場合は、数万円なら一時的に立て替えられる状態でした。ここが厳しいなら、その場で自己負担金を払えばいい形の方が向いています。
修理費の上限を調べた
自分の端末の画面交換とバッテリー交換の正規価格を調べました。ここを知らないまま「壊れたら払えばいい」と判断するのは、金額を見ないで契約するのと同じです。
AppleCare+側の考え方はアップルケアは必要かを検証したページに、種類ごとの違いはスマホ保険の全体像にまとめました。

私はこの3つを見て、モバイル保険に切り替えました。決め手は月額の安さではなく、1契約で最大3台まで登録できることでした。ただ、これは3台持っている私の条件での結論です。1台しか持っていない人が同じ結論になるとは限りません。
知恵袋の回答者たちも、たぶん同じことをしています。自分の3つの答えを持っていて、それに沿って書いている。書かれていないのは前提だけです。そこを補って読めば、いらないという回答も、入るべきだという回答も、どちらも参考になりました。
スマホ保険はいらないのかに関するよくある質問
Q. スマホ保険はいらないという知恵袋の意見は信用していいですか
A. 条件が書いてある回答だけ信用してください。
端末名、使い方、過去に壊した回数。このどれかが書かれている回答は参考になります。書かれていない回答は、その人の条件が自分と同じかどうかを確かめる手段がありません。
Q. スマホ保険がいらない人はどんな人ですか
A. 守る機器が1台で、修理費を一括で払えて、端末の修理上限が2万円台までの人です。
この3つが揃っているなら、保険料を払わずに手元に置いておく方が合理的だと思います。逆に1つでも外れるなら、一度計算してみる価値があります。
Q. 知恵袋で見た「2年で3割が壊れる」は本当ですか
A. 数字は実在しますが、国の調査ではありません。
株式会社オークネットが2018年に発表した民間調査で、正確には31.0%です。600名への調査で、年代別では10代43.0%、60代以上24.0%と大きく開きます。
Q. スマホ保険は掛け捨てだから損ではないですか
A. 使わなければ支払った分は戻りません。
そこは保険という仕組みの前提です。判断すべきは損か得かではなく、壊れたときの金額を自分で背負えるかどうかだと私は考えています。背負えるなら掛け捨ては不要です。
Q. 子供のスマホにも保険はいりませんか
A. 私が読んだ範囲では、必要側の声が多かったです。
2年で3回割ったという相談が実際にありました。調査でも10代の破損率は43.0%で、60代以上の24.0%と大きく差があります。使う人の年齢は、判断材料として無視できません。
Q. 保険に入らないと決めたら何をすればいいですか
A. 修理費の上限を調べて、その額を置いておくことです。
入らないという判断は、自分が保険会社になるという判断と同じです。使っている端末の画面交換とバッテリー交換の正規価格を調べ、その金額をいつでも出せる状態にしておいてください。
知恵袋は、条件が書かれた相談には強い場所でした。iPhone 15 Proと機種名を書いた質問には、金額まで入った具体的な回答が付いていました。
弱いのは、条件が書かれていない質問です。回答は数人分しか集まらず、その数人がどんな端末をどう使っているかは分かりません。読む側は、自分と同じ条件の人の答えだと思って読んでしまいます。
私が知恵袋から持ち帰ったのは結論ではなく、質問の立て方でした。守りたい機器は何台か、立て替えはできるか、修理費の上限はいくらか。この3つに答えてから、もう一度読み直してみてください。
結論:私の3つの答えは、3台・立て替えできる・上限6万円台でした。
月700円で、スマホだけでなくタブレットもイヤホンも、1契約で最大3台までまとめて守れます。しかも、壊れたら一律いくら、ではなく、かかった修理代がそのまま戻ってきます。
私はAppleCare+をやめてこれ1本にしてから、毎月の固定費が半分近くになりました。今のところ、これで十分だと思っています。AppleCare+をやめて、月700円・最大3台に切り替えました。
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