保証を横に並べて見比べたい方へ。AppleCare+・キャリアの補償・モバイル保険を1ページにまとめています。
社用の iPhone を配り終えた会社が次に増やすのは、たいてい Apple Watch です。同じ契約に載せれば同じように守られる、と考えるところから話が始まります。
載ることは載りますが、AppleCare for Enterprise の規約を読むと Apple Watch だけが届かない層がひとつありました。 それは修理でもサポートでもなく、壊れた端末の代わりが即日で出てくる仕組みのほうです。
AppleCare for Enterprise の交換用の在庫は、iPhone・iPad・iPod touch と Mac・Apple製ディスプレイの5つだけを名指ししています。Apple Watch は枠を増やす分母には数えられるのに、その枠から引き出す対象には選ばれていません。修理費そのものを受け止める手段を別に持っておくなら、月額700円(非課税)で1契約に3台まで登録でき、iPhone を主端末・Apple Watch を副端末にすれば51人ぶんで月35,700円・年428,400円です。
先に確かめるのは料金表より、規約の第1条に並んでいる機種名のほうです。
法人のApple Watchの補償は交換用の在庫に入っていません
AppleCare for Enterprise には、Appleが所有する在庫から代わりの端末を引き出せる仕組みが付いています。その在庫に並ぶ機種の名前を読むと、Apple Watch がどこにも出てきません。
| 引き出せる在庫 | 中身 | Apple Watch |
|---|---|---|
| Device Pool | iPad・iPhone・iPod touch の本体 | 入っていない |
| Component Pool | Mac と Apple製ディスプレイの部品 | 入っていない |
規約の第1条は、このサービスに含まれる3つの利点を (a)(b)(c) に分けて説明しています。(c) が交換用の在庫の話で、そこに機種名が名指しで並んでいました。
(c) Enterprise-requested replacement of Apple iPhone, iPad or iPod touch devices or Mac or Apple-branded display replacement components (“Service Components”) owned by Apple but made available to the Enterprise at its option.
並んでいるのは iPhone・iPad・iPod touch・Mac・Apple製ディスプレイの5つです。Apple Watch はこの列挙の外に置かれています。
交換用の在庫に入っていないという事実は、料金表にも申込画面にも出てきません。規約の第1条を英語のまま読まないと分からない場所に書かれています。
部品の在庫のほうもMacとディスプレイだけです
もうひとつの在庫である Component Pool は、本体ではなく部品を置いておく仕組みです。こちらの対象も規約に書き出されていて、Mac と Apple製ディスプレイに限られていました。
Apple will make available a pool of Service Components to the Enterprise consisting of all relevant Mac or Apple-branded display component parts sufficient to fully rebuild any Mac or Apple-branded display Included Device (the “Component Pool”)
本体の在庫にも部品の在庫にも Apple Watch の名前がありません。 この2つの在庫がどういう順番で使えるようになるかは法人のAppleCareにあとから加入するときの手順にまとめました。
法人のApple Watchの補償は枠の分母のほうには数えられます
引き出せないなら契約に入れても関係ないかというと、そうではありませんでした。Apple Watch は、引き出せる回数を決める計算式のほうには参加しています。
規約は Device Pool から引ける回数の上限を、割合で決めると書いています。その割合を掛ける相手が「Included Devices の総数」でした。
The total number of Device Pool Fulfillment Requests permitted by the Enterprise shall not exceed the following percentage of the total number of Included Devices that are under the Service Plan, depending on the Service Pool feature purchased
Apple Watch は Included Devices なので、総数のほうには数えられます。 ところが引き出す側の条文を読むと、対象が3機種に絞られていました。
Enterprise may, except as described in section 4.1.1, draw from the Device Pool to replace an iPad, iPhone or iPod touch Included Device at any time and for any reason
| 場面 | Apple Watch |
|---|---|
| 枠の数を決める分母 | 数えられる |
| 枠から引き出す対象 | 選べない |
Apple Watch を契約に載せると枠は増え、増えた枠は iPhone と iPad と iPod touch にだけ使われます。 台数と枠の関係をもう少し細かく見る場合は法人でAppleCareを複数台に付けるときの数え方が参考になります。
法人のApple Watchの補償は修理までなら届きます
在庫から外れているだけで、Apple Watch が守られていないわけではありません。壊れたときに修理を受ける権利は、他の端末と同じ条文から出ています。
If during the Plan Term, you submit a valid service request by notifying Apple that (i) a defect in materials and workmanship has arisen in the Included Equipment, Apple will either (a) repair the defect at no charge using new parts or previously used Apple genuine parts that have been tested and pass Apple functional requirements, or (b) exchange the Included Equipment with a replacement device
条文の主語は Included Equipment なので、Apple Watch も修理と交換の対象に入ります。 受け取り方は規約の3.2条に3通り書かれていました。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 翌営業日のオンサイト | 対応エリア内なら技術者か指定の配送業者が来る |
| 持ち込み | Apple直営店かAASPに事前に話を通しておく |
| 郵送 | Appleが送り状を送ってくる |
在庫から即日で出てくることと、修理を受けられることは別の話です。 どこまでが範囲に入るかを条文ごとに整理したものは法人のAppleCareで後悔が生まれる場面に置いてあります。
郵送を選んだときの送料はAppleが持ちます
Apple Watch は小さいので、オンサイトより郵送を選ぶ場面が多くなります。この方法の費用は規約に明記されていました。
Apple will pay for shipping the Included Equipment to and from your location if you follow all instructions.
行きも帰りも Apple 負担ですが、条文の末尾には「指示にすべて従った場合」という条件が付いています。 Apple から届く送料前払いの送り状を使うことが前提なので、社内の便で先に送ってしまわないよう注意が要ります。
法人のApple Watchの補償は純正バンドまでAppleの範囲です

Apple Watch で壊れやすいのは本体よりバンドです。規約の第1条は、本体の後ろに純正アクセサリを足す形で範囲を広げていました。
In addition to the Included Devices, Apple will also provide hardware service and technical support services for Apple-branded mice, Apple battery chargers, and other Apple-branded accessories purchased from Apple and used with the Included Devices
- Apple純正のマウス
- Apple純正の充電器
- Appleから買った、その他のApple純正アクセサリ
3つ目の「その他のApple純正アクセサリ」に、Appleストアで買った純正バンドが入ります。逆に言うと、他社製のバンドはここに入りません。
社員が自分で買い足したバンドは、この1本だけ範囲の外に落ちます。 対象の外に何が置かれているかを一覧にしたものは業務用の端末で補償の対象外になるものにまとめています。
法人のApple Watchの補償は保険側だと本体だけになります
Apple がアクセサリまで見るのに対して、保険のほうは逆の作りでした。約款は補償の対象を定義したあと、付属品を名指しで外しています。
電波法施行規則第2条第1項第15号に定める無線通信が可能な端末機器とします。(中略)なお、通信端末に挿入して使用するSIMカード、メモリーカード、電池パック等および充電器、ACアダプター、付属ケーブル等の付属品は補償の対象となりません。
| 壊れたもの | Apple側 | 保険側 |
|---|---|---|
| Apple Watch 本体 | 対象 | 対象 |
| 純正バンド | 対象 | 対象外 |
| 充電ケーブル | 対象 | 対象外 |
同じ1本のバンドが、片方では範囲に入り、もう片方では外に置かれます。 保険が引き受ける端末の条件そのものは社用の端末に保険を掛けるときの対象範囲で詳しく扱いました。
法人のApple Watchの補償は電話サポートに名前があります
修理とは別に、使い方を聞ける窓口が付いています。この窓口が扱うOSの一覧に、watchOS が名指しで入っていました。
(ii) macOS, iOS, iPadOS, tvOS, and watchOS operating systems (“OS”) and Apple-branded software applications that are designed to operate with the Included Equipment
- macOS
- iOS
- iPadOS
- tvOS
- watchOS
社員が「通知が来ない」と言ってきたときも、この窓口に回せます。 複数の機種をまとめて見る場合の窓口の分かれ方はiPhoneとMacBookとiPadをまとめて補償するときの整理に書きました。
法人のApple Watchの補償は解決までの時間が決まっていません
24時間365日という表記を見ると、いつでも解決してもらえるように読めます。規約の5.2条は、そこに線を引いていました。
Apple will make best efforts to respond to a Support Service request diligently within the response time described under the Service Plan, but does not guarantee that a resolution will be provided within a specific time period.
| 内容 | 規約の書き方 |
|---|---|
| 受け付ける時間 | 24時間365日 |
| 返事をする努力 | best efforts |
| 決まった時間内の解決 | does not guarantee |
約束されているのは返事であって、解決ではありません。 Apple Watch は代わりの本体が在庫から出てこないぶん、直るまでの間は社員の腕から1本消えたままになります。
法人のApple Watchの補償は保険では副端末の側に置かれます
モバイル保険を重ねる場合、1つの契約に3台まで登録できます。ただし3台は同格ではなく、1台だけが主端末という別枠に置かれます。
| 区分 | 台数 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 主端末 | 1台 | 補償の中心 |
| 副端末 | 2台まで | 主端末に付いてくる形 |
iPhone と Apple Watch を持つ社員なら、iPhone を主端末に、Apple Watch を副端末に置くのが自然な形になります。 副端末の上限額と、どちらを主端末にすべきかの判断は会社のスマホとパソコンに保険を掛けるときの配分で数字を出して比べました。
副端末は登録から30日間は動きません
あとから Apple Watch を足す場合、登録したその日から守られるわけではありません。重要事項説明書に待機の期間が書かれています。
副端末をはじめて追加登録する場合は登録日から30 日間は補償されません。
配布の日に登録しても、最初の30日間は自己負担のままです。 入社日に合わせて端末を渡す会社なら、渡す前に登録を済ませておくと、この30日が試用期間の中に収まります。
法人のApple Watchの補償を51台で数えました
社員51名に iPhone と Apple Watch を1台ずつ配った会社で考えます。端末は合計102台になりますが、Apple Watch の51台は在庫の話に一度も出てきません。
| 端末102台をどう守るか | Apple Watch 51台の扱い | 出典 |
|---|---|---|
| 壊れたときの修理 | 受けられる | 3.1条 |
| 純正バンドの不具合 | Appleの範囲に入る | 第1条後段 |
| watchOSの使い方の質問 | 電話サポートの対象 | 3.4条(ii) |
| 即日で代わりの本体が出る | 出ない | 第1条(c)・3.5.1条 |
| 修理費を現金で受け止める | 副端末として登録できる | 重要事項説明書 |
なお AppleCare for Enterprise は Included Devices を200台以上持つ会社が対象なので、51名規模の会社はこの契約の入口に届きません。 その場合の Apple 側の選択肢は、端末ごとに AppleCare を買う形になります。
保険を重ねても交換用の在庫は動きません
モバイル保険を51人ぶん持つと、1人1契約で51契約です。月額700円(非課税)なので月35,700円、年428,400円になります。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 契約数 | 51契約 |
| 月額 | 35,700円 |
| 年額 | 428,400円 |
この428,400円が受け止めるのは修理の費用で、Apple の在庫から Apple Watch が1台出てくるようになるわけではありません。 複数の端末を1つの契約にまとめる考え方そのものは複数端末の補償を一本化するときの組み方で整理しています。
法人のApple Watchの補償で会社が先に決める3つのこと
契約を選ぶ前に社内で決まっていないと、あとから直せない項目が3つあります。どれも規約の読み方ではなく、運用の決めごとです。
Apple Watch が止まった日に、その社員の業務が止まるかどうかを先に決めます。止まるなら予備機を社内に持つ必要があり、止まらないなら修理が戻るまで待てます。
- 誰が主端末を決めるか。iPhone と Apple Watch のどちらを主端末にするかは、あとから逆向きに戻せません
- バンドを Apple から買うか。他社製のバンドを選んだ時点で、Apple の範囲から外れます
- 予備機を何台持つか。在庫から即日で出てこない以上、この判断だけは社内に残ります
- 主端末から副端末への変更はできますが、副端末から主端末への変更はできません。最初の登録の向きを間違えると、契約を作り直すことになります
法人のApple Watchの補償についてよくある質問
Q. 法人契約のApple Watchは交換用の在庫から代わりが出ますか

A. 出ません。
規約の第1条(c)が交換の対象を iPhone・iPad・iPod touch・Mac・Apple製ディスプレイと書いており、Apple Watch はその列挙に入っていません。
Q. Apple Watchを契約に入れると交換の枠は増えますか
A. 増えます。
枠の数は Included Devices の総数に割合を掛けて決まり、Apple Watch も総数に数えられます。増えた枠を引き出せるのは iPad・iPhone・iPod touch だけです。
Q. 法人のApple Watchの純正バンドが壊れたらAppleが見てくれますか
A. Appleから買った純正バンドなら範囲に入ります。
規約の第1条後段が「その他のApple純正アクセサリ」を対象に含めています。他社製のバンドはこの文の外にあります。
Q. モバイル保険でApple Watchのバンドは補償されますか
A. 対象外です。
約款の第2条が付属品を名指しで除いており、補償の中心はあくまで無線通信ができる端末機器の本体です。
Q. watchOSの操作方法もAppleに聞けますか
A. 聞けます。
サポートの対象OSに watchOS が名前で入っています。iPhone との接続がうまくいかない場面も、同じ窓口の扱いです。
Q. Apple Watchの修理は何日で戻ってきますか
A. 日数の約束はありません。

規約は返事について best efforts と書き、決まった期間内の解決は保証しないと明記しています。
Q. Apple WatchはモバイルZ保険の主端末にできますか
A. 無線通信ができる端末機器であれば登録の対象です。
ただし iPhone と併用するなら iPhone を主端末に置くほうが上限額の使い方として無理がありません。主端末を副端末へ移すことはできますが、逆はできません。
Q. 社員51名の会社でもAppleCare for Enterpriseに入れますか
A. 入れません。
この契約は Included Devices を200台以上維持することが条件になっています。51名規模の会社は、端末ごとに AppleCare を買う形が現実的な選択肢です。
Apple Watch は、AppleCare の中で扱いが分かれる端末でした。修理もサポートも純正バンドも範囲に入るのに、代わりの本体が即日で出てくる層にだけ入っていません。
この差は台数が増えるほど社内の予備機の数に跳ね返ります。契約の前に決めるのは料金ではなく、腕から1本消えた日に業務が止まるかどうかのほうです。
腕から1本消えた日に業務が止まるかどうかを、契約の前に決めてください。
※料金や条件は変わることがあります。加入前に、最新の内容を公式ページで確認してください。