社用スマホの保険がいらないという判断は会社では説明を求められます

ナルセ
保証の中身を1つずつ確かめている調査員です。AppleCare+にiPhoneを2年入れて、修理は一度もありませんでした。今はモバイル保険に切り替えて使っています。

保証を横に並べて見比べたい方へ。AppleCare+・キャリアの補償・モバイル保険を1ページにまとめています。

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社用端末の保険を見送りたいとき、知恵袋で「いらない」という回答を見つけると心強くなります。ところがその回答を印刷して稟議に貼ることはできません。

答えた人が何台の端末を持つ会社の担当者なのか、そもそも会社の話なのかが書かれていないためです。 個人が自分の端末について決めるのは自由ですが、会社で決めるときは決め方のほうを職務として問われます。

モバイル保険は月額700円(非課税・調べた時点)で、1契約に最大3台まで登録できます。枠が人に付くため、社員23名に1人3台ずつ計69台を配る会社なら23契約で月16,100円・年193,200円という数え方になります。見送ると決める場合でも、この総額と壊れたときに出る額を並べた記録が残っていれば、決裁の前提として使えます。登録できる端末の条件や補償の対象外は、申し込む前に約款と重要事項説明書で確かめられます。
いらないと決める前に、自社の人数で総額を出してください。

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社用スマホの保険がいらないという判断は残し方で変わります

知恵袋の回答と会社の記録は、同じ「いらない」でも後から検証できるかどうかが違います。 会社の記録は、誰が何を見て決めたのかを追える形になっている必要があります。

見るもの誰が言ったか前提の台数後から検証
知恵袋の回答不明書かれていないできない
保険会社の資料保険会社商品の条件として明示できる
社内の決裁記録決めた人自社の実数できる
個人と会社は違う

知恵袋の回答は誰が答えたのか分かりません

匿名の回答には、答えた人が個人なのか法人の担当者なのかが書かれていません。同じ「いらない」でも、端末1台の個人と69台の会社では前提がまるで違います。

回答者が端末を何年使っているのか、修理に出したことがあるのかも分かりません。前提の書かれていない結論は、そのままでは自社に当てはめられません。

個人の結論と会社の結論は残し方が違います

個人の判断は、間違っていても自分が修理費を払って終わります。会社の判断は、誰かが決めて誰かが払うので、決めた経緯が残っていないと後で説明できません。

保険を見送ること自体は珍しくありません。判断の中身よりも、その判断がどこに残っているかのほうが問われます。

社用スマホの保証をどう考えるかは、社用スマホの保証が必要かを修理費から考えた記事 にまとめました。入ったあとに不満が出たときの行き先は、法人のスマホ保険の評判を制度から見た記事 のほうで扱っています。

問われるのは結論ではなく決め方です

会社法は、取締役が何を選ぶべきかまでは書いていません。書かれているのは、どういう立場で職務を行い、何を体制として整えるかのほうです。

「いらない」という結論は、会社では単独では成り立ちません。同じ結論でも、根拠が匿名の回答か自社の実数かで、記録としての強さが変わります。

社用スマホの保険がいらないと決める人は委任の規定に従います

会社の判断を実際に下すのは取締役で、会社と取締役の関係は会社法が委任に置いています。 委任である以上、民法の受任者の義務がそのまま乗ってきます。

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

会社と取締役の関係は委任に関する規定に従います

会社法第330条は、役員との関係を雇用ではなく委任だと定めています。雇用なら指示に従えば足りますが、委任は事務の処理そのものを任される関係です。

任される以上、任された側の注意の水準が問題になります。その水準は会社法ではなく民法のほうに書かれています。

受任者には善良な管理者の注意が求められます

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

民法第644条が求めるのは、自分の物を扱うときの注意ではありません。他人から預かった事務にふさわしい水準の注意で、条文はこれを善良な管理者の注意と呼んでいます

端末が壊れたときにいくら出るのかを調べないまま「いらない」と決めた場合、この水準を満たしたと言えるかどうかが残ります。調べた記録があれば、結論が見送りでも説明はつきます。

忠実にその職務を行う義務も別に置かれています

取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。

会社法第355条は、注意義務とは別に忠実義務を置いています。会社のために職務を行うという文言なので、自分が楽かどうかは判断の理由になりません。

保険料を払いたくないという理由だけで見送ると、この文言との距離が開きます。払わない理由ではなく、払わなくても足りる理由のほうを書くことになります。

社用スマホの保険がいらないは損失の危険の管理として並んでいます

端末が壊れて会社が損をする話は、会社法施行規則が体制の項目として名前を付けて並べています。 保険に入るかどうかは、その項目の中で扱われることになります。

法第三百四十八条第三項第四号に規定する法務省令で定める体制は、当該株式会社における次に掲げる体制とする。

法務省令は体制の項目を5つ挙げています

第98条第1項が挙げる項目は次のとおりです。5号は企業集団の体制なので、子会社のない会社に関わるのは1号から4号までになります

一 当該株式会社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

二 当該株式会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制

三 当該株式会社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

四 当該株式会社の使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

2号は損失の危険の管理に関する規程その他の体制です

4つの中で端末に直接届くのは2号です。規程その他の体制という書き方なので、文書の形は問われていません。

会社が損をしうる場面を洗い出して、どう扱うかを決めておくという趣旨です。保険はその扱い方の一つで、入らないという扱いも選択肢の中に入ります。

端末が壊れる話もこの危険の中に入ります

端末の毀損は金額が読みにくく、起きる時期も選べません。危険として洗い出す対象から外す理由は見当たりません。

法人でモバイル保険を使うときの注意点は、モバイル保険を法人で使うデメリットをまとめた記事 に整理しました。契約者と被保険者の関係も、そこで条文に沿って確かめています。

社用スマホの保険がいらないの決定は各取締役に委任できません

体制の整備は、取締役会のない会社でも各取締役に丸投げできない事項として並んでいます。 会社法第348条第3項がその一覧です。

前項の場合には、取締役は、次に掲げる事項についての決定を各取締役に委任することができない。

取締役会がない会社にも同じ規定があります

第348条は取締役会設置会社を除いた会社の条文です。取締役会がないから体制の話は関係ない、という読み方はできません。

一覧には支配人の選任や支店の設置と並んで、体制の整備が入っています。規模の小さい会社を想定した条文の中に置かれている点が要点です。

4号が体制の整備を挙げています

取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

この4号を受けて、法務省令の第98条が5つの項目を並べています。条文と省令が二段構えになっているので、条文だけ読むと損失の危険という言葉が出てきません

決定は取締役の過半数で行うことになります

取締役が二人以上ある場合には、株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役の過半数をもって決定する。

取締役が2人以上いる会社では、業務の決定は過半数で行います。担当者が調べて1人の役員に口頭で伝えるだけでは、決定した記録が残りません。

端末の保証をどう管理するかは、法人端末の保証を管理する方法をまとめた記事 で扱っています。台帳と更新日をどこに置くかも、そこで具体的に書きました。

社用スマホの保険がいらないを決めなければならない会社があります

同じ体制の話でも、決定が義務になる会社とそうでない会社に分かれます。 分け目は大会社かどうかで、その定義は会社法第2条に置かれています。

大会社においては、取締役は、前項第四号に掲げる事項を決定しなければならない。

大会社は決定しなければならないと書かれています

第348条第4項は、大会社について決定しなければならないという書き方をしています。義務の主語は取締役で、決定の対象は前項第4号の体制の整備です。

大会社でなければこの義務は生じません。義務がないことと、考えなくてよいことは別の話になります。

大会社は資本金5億円か負債200億円で決まります

要件金額
資本金として計上した額5億円以上
負債の部に計上した額の合計額200億円以上

イ 最終事業年度に係る貸借対照表(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、同条の規定により定時株主総会に報告された貸借対照表をいい、株式会社の成立後最初の定時株主総会までの間においては、第四百三十五条第一項の貸借対照表をいう。ロにおいて同じ。)に資本金として計上した額が五億円以上であること。

ロ 最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二百億円以上であること。

いずれかに当てはまれば大会社です。社員が数十名の会社であれば、どちらの線にも届かないことがほとんどになります。

中小企業でも注意義務が消えるわけではありません

決定の義務がないだけで、委任の関係と善良な管理者の注意はそのまま残ります。大会社ではないという事実は、調べなかったことの理由になりません。

順位や比較で選ぼうとする場合の注意は、法人向けスマホ保険のランキングを制度から読み直した記事 にまとめました。誰が順位を付けたのかを確かめる手順も、そこに書いています。

大会社ではないから内部統制は関係ない、という整理はできます。ただし残るのは第330条の委任と民法第644条のほうで、こちらに規模の線は引かれていません。

社用スマホの保険がいらないは取締役会でも委任できない事項です

取締役会を置いている会社でも、体制の整備は取締役に委任できない事項として並んでいます。 第362条第4項の一覧に第6号として入っています。

取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

6号は取締役会設置会社にも同じ体制を求めます

第362条第4項第6号の文言は、第348条第3項第4号とほぼ同じです。取締役会があってもなくても、体制の整備は個人に流せない扱いになっています。

受ける法務省令は第100条で、こちらも損失の危険の管理を2号に置いています。条文の番号は違いますが、並んでいる項目は同じです。

取締役会には職務の執行を監督する職務があります

二 取締役の職務の執行の監督

第362条第2項は取締役会の職務を3つ挙げ、その2号が監督です。監督する側は、何がどう決まったのかを見られる状態でなければ動けません。

記録がないと監督のしようがありません

決めた日と、そのとき見た数字が残っていない場合、監督は結果を見るしかなくなります。壊れてから振り返ると、判断そのものではなく結果の悪さで評価されることになります。

会社所有のスマホをどう扱うかは、会社所有のスマホ保険を条文から整理した記事 で扱っています。責任開始の時期や解除の事由も、そこで確かめました。

社用スマホの保険がいらないで任務を怠ると賠償責任が生じます

体制の話が最後に接続する先が、第423条の任務懈怠責任です。 会社に損害が出たときに、誰が負うのかを定めた条文になります。

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

任務を怠ったときは会社に対して責任を負います

条文の要件は「任務を怠ったとき」です。損害が出たことではなく、任務の側に落ち度があったかどうかが入口になります。

調べたうえで見送って壊れた場合と、調べずに見送って壊れた場合では、同じ損害でも位置づけが変わります。残っている記録が、その2つを分ける材料になります。

他の役員も負うときは連帯債務者になります

役員等が株式会社又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員等も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

第430条は、複数の役員が責任を負う場合を連帯債務としています。分担ではないので、1人に全額の請求が向かうことがあります。

判定されるのは結果ではなく任務の側です

見送りの前にしたこと壊れた結果説明の材料
台数と修理費を調べた同じ調べた記録が残る
匿名の回答だけ見た同じ前提が残らない
何もしていない同じ何も残らない

結果が同じでも、手前に何があるかで説明できる量が変わります。保険に入るかどうかより、入らないと決めた理由が書けるかどうかのほうが後に効きます

キャリアの補償オプションを検討している場合は、法人携帯の補償オプションが必要かを月額から並べた記事 が近いです。3社の負担金の差も、そこで表にしています。

社用スマホの保険がいらないより先に23名69台で数えました

判断の前に、入った場合の総額を自社の実数で出しておきます。 社員23名の会社が1人3台ずつ持つ場合で数えました。

項目
社員数23名
1人あたりの端末3台
端末の合計69台
契約数23契約
月額の合計16,100円
年額の合計193,200円
3年の合計579,600円

1人3台で数えると23契約になります

モバイル保険は1契約に最大3台まで登録できます。枠が人に付く形なので、69台でも69契約にはなりません。

スマートフォンとノートパソコンとタブレットを1人が持つ場合、3台で1契約に収まります。台数ではなく人数で数えるところが、法人での見積りとずれやすい点です。

3年で579,600円

月16,100円・年193,200円が保険料の総額です

月額700円(非課税・調べた時点)を23契約で掛けると月16,100円です。年に直すと193,200円で、この数字が見送った場合に払わずに済む額になります。

払わずに済む額と、壊れたときに出る額を並べて初めて比較になります。片方だけを見て決めると、どちらに寄せても根拠が薄くなります。

3年で579,600円を先に置いてから回答を読みます

3年で579,600円です。この数字を出したうえで知恵袋を読むと、回答が自社の規模を前提にしていないことがはっきりします。

社用スマホの保険がいらないと決める前に会社が残す3つのこと

見送る判断そのものは会社の自由です。 残すものを決めておけば、後から誰が見ても経緯が追えます。

残すもの見る場所使いどころ
台数と修理費の見込み端末台帳と修理明細決裁の前提
補償されない場面約款と重要事項説明書入る場合の限界
条件を並べた比較各社の商品資料選ばなかった理由
見送るなら3つ残す

台数と修理費の見込みを先に書き出します

何台あって年に何回壊れているかは、社内の記録から出せます。外から探した平均値より、自社の実績のほうが決裁の前提として強くなります。

社用端末の保険がどこまで届くかは、社用端末の保険の範囲を整理した記事 で扱いました。登録できる端末の条件も、そこで確かめています。

補償されない場面を約款で確かめます

入る場合でも、対象外の場面は先に読んでおきます。そこを読まずに見送ると、そもそも何を見送ったのかが記録に残りません。

補償されない場面は、業務端末の補償の対象外をまとめた記事 に並べました。約款のどこに書かれているかも、あわせて示しています。

申込みの前に条件を並べて比べます

選ばなかった商品の条件も、並べた記録があれば理由になります。比較の表が1枚あるだけで、決裁の説明の量が変わります。

法人での比較の観点は、法人端末保険を条件ごとに比較した記事 にまとめています。名義と入れ替えの扱いも、そこで並べました。

社用スマホの保険がいらないかについてよくある質問

Q. 知恵袋の回答を稟議の根拠にしてよいですか

A. 前提が書かれていないので、そのままでは根拠になりません。

回答者の会社の規模も端末の台数も分からないためです。同じ内容でも、自社の台数で数え直したものに置き換えれば決裁の材料になります。

Q. 中小企業でも内部統制の体制が要りますか

A. 決定の義務が生じるのは大会社です。

大会社は資本金5億円以上か負債200億円以上で決まります。義務がない場合でも、会社法第330条の委任と民法第644条の注意義務のほうは残ります

Q. 保険に入らないと決めた記録はどこに残しますか

A. 決裁の稟議書と端末台帳の2か所が使いやすいです。

稟議書には見た数字と決めた日を、台帳には台数と修理の履歴を残します。別々の場所に置くより、同じ日付で紐づけておくと後から追いやすくなります。

Q. 台数が少なければ保険はいらないですか

A. 台数ではなく1回の修理費と回数で見ます。

3台の会社でも、画面が割れれば1回の出費は同じです。台数が少ないほど契約数も少なくなるので、総額の側も小さくなります。

Q. 総務の担当者も責任を問われますか

A. 第423条の名宛人は役員等で、担当者は含まれていません。

条文が挙げているのは取締役や監査役などです。担当者の側で残せるのは、調べた内容を決裁に上げた記録のほうになります。

会社としての判断は、入るか入らないかの二択で決まるわけではありません。入らないと決めた経緯が残っていれば、それも一つの体制の形になります。

数字を出して並べる作業は、入る場合も入らない場合も同じです。先に総額を出しておくと、どちらに決めても説明が短く済みます。

結論:社用スマホの保険がいらないという結論は、会社では残し方のほうを問われていた。会社法第330条は会社と役員の関係を委任に置き、民法第644条は受任者に善良な管理者の注意を求め、第355条は忠実にその職務を行う義務を別に定めている。会社法施行規則第98条第1項第2号は体制の項目に損失の危険の管理に関する規程その他の体制を挙げ、この体制の整備は第348条第3項第4号で各取締役に委任できない事項とされ、第362条第4項第6号では取締役会も委任できない。決定が義務になるのは資本金5億円以上か負債200億円以上の大会社だが、義務がない会社にも委任と注意義務は残る。第423条第1項が問うのは損害の大きさではなく任務を怠ったかどうかで、第430条は他の役員も責任を負うときに連帯債務者としている。会社が残すのは入るか入らないかの結論ではなく、台数と修理費を数えたうえで決めたという記録のほうになる。
いらないと決めるなら、その決め方を残してください。

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